屋根に要求される基本的な条件というのは、耐水性、耐久性、耐熱性、美観、軽量、安価ということになるわけだが、虚栄心の象徴という一面もある。
こうした条件に合わせても、鉄板、銅板、アルミニウムといった金属性の屋根が一番いいと私は思う。
金属の屋根は夏暑いとよくいわれるが、それは日が高いうちだけのことで、熱放出の速いうすい金属板の屋根はそれほど過ごしにくいものではない。
むしろ熱がこもりホテりきったコンクリート類のほうがよほどひどい。
ただ、金属を使う際、イオン化傾向の違う異種金属を接触させると電蝕反応の可能性がある。
絶縁しないかぎり、イオン化傾向の強い金属が弱い金属を腐蝕してしまう。
じかにくっつけなくても、銅板の屋根に鉄板の雨どいをつけたとしたら、腐蝕してボロボロになってしまう。
ご注意ください。
家相のひとつに、門が大きく、家が小さいのは凶相というのがある。
身分不相応な門をつくれば凶運を招くし、美観上もよくないというのである。
日本人の心の中にある玄関のイメージは、単なる出入り口ではなく、住人のステイタス(身分)の象徴であった。
漱石の『坊っちゃん』の中に、主人公が、老いた女中に自分の将来像を予想させ、この婆やが、坊っちゃんは将来立派な門構えで、立派な玄関のある家に住むようになるだろう、というくだりがある。
明治の末、維新以来半世紀近くたってのことである。
明治維新後は、誰でも玄関をつくることができるようになったが、封建時代には、一般庶民はその住宅に門や玄関を設けることが許されていなかった。
門や玄関を設けるにはそれ相応の身分が必要だった。
だから立派な玄関のある家というのは、その玄関の格式にしたがった身分の高い人の住宅ということになった。
しかし、江戸の末期には「本間様には及びもないが、せめてなりたや殿様に」という戯れ歌にもあるほどの豪農・豪商もあらわれたが、生活諸般には厳しい規制があって、玄関は名主以上でないと設けることができなかった。
そこで、こうした豪農・豪商は自宅に殿様をご招待したいというようなことを申し出ることで、自宅に殿様が来訪したときに、殿様が通過するだけのための玄関という名目で、やっと自分の家に玄関を設ける許しを得ていた。
ところが、その玄関はあくまでも殿様用のもので、いくら金持ちの豪農・豪商でも、士農工商の身分差別の中にあって、彼ら自身は玄関からの出入りはできなかったのだからみじめな話だ。
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